悩める東大生の休学タビ記録

人生に悩んだ東大生が、休学して世界中を旅した経験を綴ったエッセイブログ。

「伝染する熱量の揺れ」ハバナ③|中南米旅エッセイ14

彼が担当するメロディに入る。ソロパートだ。静かな緊張と、若さゆえの自信から、息は僅かに震えているように聞こえる。でも力強い。高音も安定している。むしろその僅かな震えが、フロアの空気を揺らしている。そして空気の振動が、観客の内部を揺らし始め…

7年の大学生活が終わる

先日東京大学大学院を卒業しました。これで休学の1年を含む、7年続いた大学生活も終わりました。 修了式 本当は3/31に投稿したかったのですが、まとまりせんでした。本当は節目の気分はFacebookに投稿したかったのですが、諸事情ありFacebookはやめました。…

毎日更新したい!!

先日毎日更新すると宣言して、なんだかんだ2平日に1更新くらいになっています。 が、ここで追い討ちをかけるように、請け負っている仕事の締め切りが迫っているので、もう少しスローペースになります。。。

「アジア人差別?」バラコア|中南米アジア旅エッセイ13

車内には観光客は1人もおらず、全員現地住民だった。座った瞬間嫌な感じがした。車内のあちこちからニヤニヤした顔が向けられ、「Chino, Chino」と呼ばれた。アジア人差別を感じた。無視して耐えた。

「ピンチ!復学届!」サンティアゴ・デ・クーバ|中南米旅エッセイ12

もし、カード会社から電話がかかってきていなかったら、Wi-Fiにつなぐこともなく、催促のメールには気づかなかった。もし、そのタイミングで知り合いに会わなかったらパソコンを借りられなくて復学届は書けなかった。さまざまな偶然の連携で、見事にピンチを…

「革命と螺旋階段」トリニダー|中南米旅エッセイ11

塔に登って、楕円形に切り取られた壁から、遠くまで続くカリブ海を眺めた。イヤホンをつけて「彼こそが海賊」を流した。初めて海外に行ったのは、小学6年生でハワイだった。海の見えるホテルのバルコニーから、iPodを片手に「彼こそが海賊」を聞いた。当時12…

「正しさが暴走するとき」ハバナ②|中南米旅エッセイ10

正しさが暴走するとき。正義の名の下に、あるいは経済的合理性の名の下に、本当は正しくない何かが正しいとされてしまったとき。社会は真っ暗闇の中、ブレーキをかけることなど考えもせず、崖へと続く道をアクセル全開で進む。次に社会が止まるのは、崖から…

平日毎日更新します

先日修論の提出を終えたので、卒業までの2か月弱でブログを完結させるべく、これから平日毎日ブログ更新します。 …っていうのを昨日インスタで宣言したにも関わらず、初日からできませんでした。明日からやります。。

眼球使用困難症

最近落ち込んだことがありました。 12月です。友人から電話がかかってきました。 結論から言うと、その友人は難病になり目が見えなくなったとのことです。 あとで補足説明しますが、全然読まなくても構いません。 一つ言いたいことは、「彼が病気に関してYou…

「ヘミングウェイの憂鬱」ハバナ|中南米旅エッセイ9

「老人と海」は僕はあまり好きではない。それよりも「日はまた昇る」とか「武器よさらば」の方が好きだ。でもそこには共通した感覚がある。僕がヘミングウェイの小説を読んだ後に想うのは、いつも一人の人間の後ろ姿だ。

「別物」トゥルム・カンクン|中南米旅エッセイ8

ピンクラグーン 僕らのしている「旅」と彼女たちのしている「旅行」は、別物なのだと思った。

【さよならのHappy Birthday】番外エッセイ

僕にとってこの旅は、他の旅とは少し違う意味合いを持っていた。他の旅のコンセプトが「未知との遭遇」だとすれば、この旅のコンセプトは「過去との再会」だった。

「恋・ドストエフスキー・盗難未遂」パレンケ|中南米旅エッセイ7

「その目は、その目はまるで…」と、心が呟いていた。そして次の瞬間、僕はその言葉の後に何が続くのかを悟った。自分が何を考えているのかわかってしまった。僕は全身の力を抜き、再び席に座った。彼女のことを引き止めるのはやめた。

「カルチャーショック」サンクリストバル・デ・ラス・カサス|中南米エッセイ6

でもきっとそれは、羨ましいと感じている自分の本音を誤魔化すための言い訳だったのだと思う。

番外編エッセイ「コンビニ」

「はだか」シポリテ|中南米旅エッセイ5

よし自分も脱ぐか、と思って思い切って水着を脱いだ。

番外編エッセイ「夏空の記憶」

夏という季節はどうしてこうも郷愁を誘うのだろう。 どこまでも続くような空の向こう側から 夏休みの記憶が降ってくるからだろうか。 あ、そうか。去年の夏は日本にいなかったのか。 空を見上げる。 同じように空を見上げていた去年の自分が蘇る。 僕はカン…

休学を終え日常に帰ったぼくが、今想うこと。

休学が終わって、早3ヶ月が経とうとしています。

「たなばた」オアハカ|中南米旅エッセイ④

旅で得られるもっとも重要な経験の一つは、こういう何気ないものなのかもしれない。 年齢も性別も職業も関係なかった。そういう経験が一つの心象風景となって、今の僕をしっかりと裏から支えてくれている。その風景は僕にとって、好きな時に帰れる場所なのだ…

「世界は僕を泣かせた」サンミゲル・デ・アジェンデ|中南米旅エッセイ③

それは、突然のことだった。 身体中に鳥肌が走った。 僕は気がつくと、涙を流していた。 サンミゲル・デ・アジェンデ

「生活の灯火」グアナファト|中南米旅エッセイ②

そのモザイクタイルの一つ一つに人々の生活が宿っているのだと思うと、人々の営みの歴史の重さがひしひしと伝わってくるようだった。

「テンプレートに込められた非テンプレート」メキシコシティ|中南米旅エッセイ①

シウダデラ市場にて 空港ビル内に入ると、塩素の強い匂いに混じって、ほのかに異国の匂いが漂っていた。僕はそれを懐かしく感じた。小学6年生の時に、母親に連れられてニューヨークに降り立った時の思い出がフラッシュバックした。もう11年前のことだ。僕は…

西日本縦断ヒッチハイク動画

動画編集とは名ばかりの、保存用に撮った動画を繋げてBGM貼っただけ。 www.youtube.com

「Enjoy your life」シンガポール|東南アジア旅エッセイ⑯最終回

「それで、お前は将来どんなことがしたいんだ」とジェームズが問う。

「帰るべき場所」マラッカ|東南アジア旅エッセイ⑮

自転車を漕いだ。重く熱を持った身体。額にうっすら浮かぶ汗。橋を渡ってモスクのある島へ。爽やかな夕方の風が、身体の芯を撫でた。頭の中でゆずの「夏色」が響く。僕は自転車をもっと漕ぐ。身体が少し軽く、楽になった気がした。

遠回りの意義

2018年が終わりに近づいた、この一年の振り返りのタイミングで、ここまでの休学旅ライフで思ったことも少しだけまとめます。

「宗教・軸・正義・価値観」クアラルンプール|東南アジア旅エッセイ⑭

僕はおばちゃんから説明を聞いている間、そのおばちゃんの柔和な笑顔に惹きつけられていた。そこには僕と違う価値観があるのかもしれないけれど、その価値観はこのおばちゃんにこれだけの笑顔をもたらしている。

「人生初ヒッチハイクの挑戦」キャメロン・ハイランド|東南アジア旅エッセイ⑬

一人の女性が近づいて来て、「もし泊まるところがなければ私の部屋ベッド二つあるから泊まってもいいわよ?」と声をかけてくれた。 僕は丁重に断ったが、その申し出の暖かさに心を打たれた。どこの誰かもわからない異国の男を自分の部屋に泊めようとする女性…

「誰も僕を知らない場所で」ペナン|東南アジア旅エッセイ⑫

僕は世界の隅っこにいる気分になった。僕がテロッバハンにいることなんてこの世の誰も知らないだろうし、そもそも興味もないだろう。誰も僕を知らない場所で、僕は一人自分を見つめ続ける。

「青」バンコク・タオ島|東南アジア旅エッセイ⑪

夕暮れどきのビーチを覆う南国の暖かな空気に身体を解きほぐし、爽やかな笑い声の響を聴く。 僕にとっての平成最後の夏。そこには素敵な青春があった。