「スタンド・バイ・ミー・ルート」マチュピチュ|中南米旅エッセイ16

ポーーーーーと、汽笛が鳴り響く。歩行者は、端に避ける。列車が通過していく。歩くのは好きだが、列車に乗っている人の姿を見て、ちょっとした経済格差を感じてしまう。
鉄道橋にさしかかる。枕木の上を一歩ずつ慎重に進む。子どもの頃、横断歩道の白線を渡ったように。ただし踏み外せば下は川だ。ふと脇を見ると、まさかの歩行者用の道があった。やばい。今更引き返せない。モタモタしていると、映画さながら列車も来てしまう。
続きを読む「コカインは漢方説。」クスコ|中南米旅エッセイ15

体調も悪いし、眠いし、横になりたかった。すこしでも寝心地の良い場所を求めて、空港内を彷徨った。ゲート近くのフードコートは店じまいを始めていた。その少し手前の地べたにブランケットを敷いて横になった。
続きを読む
「伝染する熱量の揺れ」ハバナ③|中南米旅エッセイ14

彼が担当するメロディに入る。ソロパートだ。静かな緊張と、若さゆえの自信から、息は僅かに震えているように聞こえる。でも力強い。高音も安定している。むしろその僅かな震えが、フロアの空気を揺らしている。そして空気の振動が、観客の内部を揺らし始める。どよめきが感嘆に変わっていく。キレイだ。僕には、彼が遊んでいるように見えた。誰よりも楽しんでいるのだ。
続きを読む

