メキシコ
ピンクラグーン 僕らのしている「旅」と彼女たちのしている「旅行」は、別物なのだと思った。
「その目は、その目はまるで…」と、心が呟いていた。そして次の瞬間、僕はその言葉の後に何が続くのかを悟った。自分が何を考えているのかわかってしまった。僕は全身の力を抜き、再び席に座った。彼女のことを引き止めるのはやめた。
でもきっとそれは、羨ましいと感じている自分の本音を誤魔化すための言い訳だったのだと思う。
よし自分も脱ぐか、と思って思い切って水着を脱いだ。
旅で得られるもっとも重要な経験の一つは、こういう何気ないものなのかもしれない。 年齢も性別も職業も関係なかった。そういう経験が一つの心象風景となって、今の僕をしっかりと裏から支えてくれている。その風景は僕にとって、好きな時に帰れる場所なのだ…
それは、突然のことだった。 身体中に鳥肌が走った。 僕は気がつくと、涙を流していた。 サンミゲル・デ・アジェンデ
そのモザイクタイルの一つ一つに人々の生活が宿っているのだと思うと、人々の営みの歴史の重さがひしひしと伝わってくるようだった。
シウダデラ市場にて 空港ビル内に入ると、塩素の強い匂いに混じって、ほのかに異国の匂いが漂っていた。僕はそれを懐かしく感じた。小学6年生の時に、母親に連れられてニューヨークに降り立った時の思い出がフラッシュバックした。もう11年前のことだ。僕は…