悩める東大生の休学タビ記録

人生に悩んだ東大生が、休学して世界中を旅した経験を綴ったエッセイブログ。

「抜け感のある話」カンボジア|東南アジア旅エッセイ⑨

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女の子は僕に向かって妖しく微笑んだ。それを合図にその子を含めた3人の女の子プラスおばちゃん1人が一斉に僕に襲いかかってきて、僕の身体のあちこちを引っ張り、あるいは背中を無理やり押して僕を店の中に連れ込もうとした。

 

 

《前回の記事》

spinningtop.hatenablog.com

 

 

 

1. クメール・ルージュによる大量虐殺

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プノンペンでは、ポル・ポト率いる独裁政権クメール・ルージュが民衆の大量虐殺を行ったキリング・フィールドと呼ばれる刑場と、S21(トゥール・スレン)と呼ばれる強制収容所を見学した。

キリング・フィールドは野原のような場所で、S21は元は学校だった建物だ。

僕は両方とも日本語の音声ガイドを聴きながら敷地をゆっくりと歩いた。

 

キリングフィールドでは大量の頭蓋骨や母親の前で子供の頭を打ち付けて殺したという樹木、S21では拷問され殺された被害者の現場写真を初めとする多くの遺体の写真、見るに絶えないものがたくさんあった。

人々はここでどのようなことを想いながら殺され、あるいは大切な人が殺されるところを目撃したのだろうか。

 

 

歴史の負の部分を見るのも僕には必要だと思った。

実際にポーランドではアウシュビッツ強制収容所に行き、東南アジアから帰ってきた後の西日本ヒッチハイク旅では広島と長崎の原爆資料館に行った。

あまり迂闊には語りたくないのだが、このような絶望的な状況の中でそれでも前を向こうとした人たちの物語を聴くと、人間の真の強さを思い知らされているような気分になった。

 

 

 

2. マッサージ屋に閉じ込められる

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次の日僕はローカル感満載のバスに乗って、アンコールワット遺跡群の観光拠点となる町シェムリアップに移動した。

 

アンコールワット遺跡群は本当にすごかった(個人的にはバイヨンがお気に入り)。

インディー・ジョーンズの世界が現実に存在していて少年心が蘇った。

それ以外にも、天空の城ラピュタのモデルと言われている密林に埋もれた寺院ベンメリアや、クメール・ルージュの潜伏の影響で行けるようになったのがここ数年の話という天空寺院プレア・ビヒアなど、遺跡はどれもたまらなく感動した。

 

が、まあそういう話って逆に面白くないので、ちょっと抜け感のある話をしようと思う。

(その代わりに一番下に写真をたくさん貼っておくので良かったら見てください)

 

ある日の夜、僕はシェムリアップのメイン通りであるパブストリートから一本外れた道を歩いていた。その周辺は夜でも非常に明るく、正直カンボジアとは思えないほど綺麗な通りだった。お店も外国人観光客向けに洒落ている。一方で少し外れたところには安い屋台があったりする。

 

とにかく僕はある通り(多分車が二台通るくらいの幅だったと思う)を歩いていて、道沿いにあるマッサージ屋の女の子とおばちゃんたちに猛烈に客引きをされた。女の子はみんな高校生か僕より少し年下くらいに見えた。

 

その中の一人、肩に黒いレースがついた服を着た目のぱっちりした女の子が「お兄さんかっこいいね」と言って僕の服を引っ張った。僕は「悪いけどお金がないんだよ。」と言って断った。なかなか離してくれなかったけど、なんとか振り切った。ぷっくりした唇が印象的だった。

そんな風に褒められるのに対して(完全な客引きトークだとわかっていても)、あんまり悪い気しない自分かわいいなあ、なんてその時は思っていた。

 

 

お土産市みたいな場所に行った後、僕は自分の宿に帰るためにもう一度その道を通る必要があった。

そしてまたぶらぶら歩いていると、さっきの女の子と目が合った。

 

女の子は僕に向かって妖しく微笑んだ。それを合図にその子を含めた3人の女の子プラスおばちゃん1人が一斉に僕に襲いかかってきて、僕の身体のあちこちを引っ張り、あるいは背中を無理やり押して僕を店の中に連れ込もうとした。

 

僕としても流石に1対4では分が悪いし、相手にいかつい男の人がいるわけでもなく危険な雰囲気は無かったから、途中から抵抗するのを諦め、おとなしく店の中に入ってから断って出てこようと思った。つまり彼女らは実際に僕を連れ込むことに成功したわけだ。

お店は美容室みたいに入り口の扉が一面透明なガラスになっていて、通りから中が奥まで見通せたし、室内は足裏マッサージをするために使うマッサージチェアーがいくつか並んでいるだけだったから、僕は安心しきっていたというのも抵抗をやめた理由としてある。

 

ところがどっこい。(なんて言葉初めて使った)

部屋の中ほどまで来ても彼女たちは僕の身体を引く手を離さない。しかもおばちゃんは僕のことを抱きかかえ、女の子たちはそれを支えた。僕の足は宙から少し浮いた。

「…え?なになにどういうこと?」と思うが早いか、一人の女の子が部屋の奥にある勝手口を開き、僕はそのまま勝手口の外へと運ばれた。

 

勝手口の外はブロック塀で囲まれた裏庭みたいになっていて、そこにはコンクリートでできた倉庫みたいなものがあった。

あっという間に僕はその倉庫に押し込まれたかと思うと、後ろで鉄の扉がバンっと閉められた。

 

部屋には床に布団が2枚敷いてある以外何も無かった。

あ、それから、僕の他にも一緒に閉じ込められた女の子が一人。さっきの唇が印象的な女の子だった。彼女は照れ臭そうに僕の目を見た。

「おいおい」僕は流石に悟った。

そこは裏でピンク系のマッサージ「も」やっているお店だったのだ。

 

扉を開けようとドアノブに手をかけた。

鍵が閉まっていた。

「………。」

 

部屋の中にいた女の子に本気でキレたふりをしながら交渉して、結局出してもらえたんだけど。

部屋の外では他の女の子2人とおばちゃんの3人してドアに背中をつけて僕を閉じ込めていた。鍵閉まってんのに。

 

ちなみに僕と一緒に閉じ込められた(というか僕の担当に割り当てられた)女の子は、自称21才って言っていたがもう少し若いように見えた。クメール(カンボジア)語、英語、日本語が話せた。その子は本当に可愛かったし話し方も知的で、なんだか日本でぬくぬくと大学生やってる自分に罪悪感を感じた。

 

それから一応言っておくと、ピンク系のマッサージはマッサージの延長なので、全くもって「まぐわったり」はしない。一応ね。だって一応これ「抜け感のある話」だもの。

あ、でも一応値段は聞いておいた。

一応ね。

 

 

 

《あとがき》

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長くなりそうなので今回はこれでやめときます。

 

前回の記事で結構燃え尽きてしまって、ブログを書く気になかなかなれませんでした。

その間本を読んで小説を書いたりしてました(ネットにあげてる短い小説に関しては下にURL貼っとくのでもし万が一億が一興味あったら覗いて見てください)

 

まあそういうわけで、ちょっと性的な話から入ることでモチベーション保ちました。

全体として一応品は保ってる…と思うんだけど。一応ね。

 

…ていうかまるで定期読者がいるみたいな感じであとがき書いてるの自分で自分に腹立ちますね。

はい。すいません。。

 

note.mu

 

 

《フォトギャラリー》

アンコール・ワット遺跡群

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◯プレア・ビヒア

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◯ベンメリア
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