「4都市に関する話」ベトナム縦断|東南アジア旅エッセイ⑦
ビーチまで歩いてすぐなのだから砂浜で寝ればいい、と思いつき水着に着替えて、防水ポーチの中に財布と携帯を入れてビーチへ向かった。ほんの少しだけ平泳ぎのフォームを確かめた後、防水ポーチを肩から斜めに掛けた状態で砂浜に横になった。天気は曇りだった。目が覚めたのは2時間後だった。
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「不協和音」バンビエン|東南アジア旅エッセイ⑤
引き返した方が懸命だったと思う。でも負けたくなかった。世の中には負けてもいい、あるいは負けていると思われてもいい。でも僕はその時負けられなかった。「一度妥協したら死んだも同然」。ずっと負け続けてしまう気がした。もうこれ以上僕は自分に負けるわけにはいかなかった。そのために休学したんじゃないのか、そのために旅に出たんじゃないのか。もはや僕が闘っているのは、日没までの時間でも砂利道でもなかった。
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「タイからラオスへ」ルアンパバーン |東南アジア旅エッセイ③
少し原始を感じる木造高床式の家々と棚田からなる小さな村が時折沿線に現れ、強い郷愁を誘う。子供たちは裸で水浴びをし、家畜の子豚兄弟が道を横断し、路肩の水路には水牛がいた。
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